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狐「これからもずっと、わたしがお姉ちゃんでいてあげるよ」



 ID:JWMzZIb5Oのお話。
 文体といい作風といい、このお話も>>1との共通点が多い。
 特筆すべきは、姉と弟との歳の差、身長差などが読み取れる>>726あたりか。 


726 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/06(木) 02:15:04.49 ID:JWMzZIb5O
弟「雨があがったね、夜になったら」
姉「うん。雲さんはどこか行っちゃったね」
弟「お月さま、綺麗だね」
姉「うん。……あ、お空を見て。お星さまの中にちいさな狐さんがいるよ」
弟「どこ?」
姉「ほら、あそこ」
弟「僕、分かんないよ」
姉「もうちょっとだけお空に近づいたら見えるかな。はい、だっーこ。たかいたかーい」
弟「わ。……お姉ちゃん、僕の体は重くない?」
姉「大丈夫、弟はまだまだ子供だから。むぐぐぐぐぐ」
弟「あはは、やっぱり重いんだ」
姉「ふふふ。それより、ちいさな狐さんは見えた?」
弟「ごめんなさい。まだ見えない」
姉「じゃ、お姉ちゃんが魔法をかけてあげるね。弟に、こぎつねさんの星座が見えますようにっ」
弟「……あ、見えた!」
姉「ふぅ。お姉ちゃん、腕が疲れちゃったよ」

739 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/06(木) 03:45:49.17 ID:JWMzZIb5O
姉「むかしむかし、あるところにお姉ちゃんと弟がいました」
弟「うんうん」
姉「お姉ちゃんと弟はとっても幸せに暮らしました」
弟「うんうん」
姉「おしまい」
弟「……それだけ?」
姉「そうです。そして、このものがたりはお姉ちゃんのうそっこです」
弟「お姉ちゃん、お話を作るのがあんまり上手くないね」
姉「そうかなあ」

744 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/06(木) 04:06:39.02 ID:JWMzZIb5O
姉「天ぷら油、おいしい。ぺろぺろ」
弟「お姉ちゃん、だめ。これから天ぷらを作るんでしょ。油を舐めたらだめ」
姉「ごめんなさい、ふかぶかおじぎ。でもおいしくてつい舐めてしまうのです。ぺろぺろ」
弟「ほら、口の周りが油でてかてかしてるよ」
姉「……おくち、舐める? ちゅー、する?」
弟「しなーい。お姉ちゃん、お気の毒ですが油は没収して僕が天ぷらを揚げます。ふかぶかおじぎ」
姉「あー! 弟なんかきらーい」
弟「今からすっごくおいしい天ぷらを揚げるのに?」
姉「じゃ、それ食べるまできらーい。食べた後はすきー」
弟「おいしくなるようにがんばります」
姉「ふれーふれー」

759 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/06(木) 04:29:23.81 ID:JWMzZIb5O
姉「わ、おすしだ! すごい!」
弟「あはは、スーパーのお寿司だけどね。お姉ちゃん、さあ召し上がれ」
姉「いただきます。ふかぶかおじぎ」
弟「いただきます。ふかぶかおじぎ」
姉「ね、ね、ね、ね、ね、このまぐろさんのおいしいとこと、弟のおいなりさん交換しよ!」
弟「だめ。中トロもちゃんと食べなさい」
姉「おお、中トロ。……これが中トロかー」
弟「食べてみて。とってもおいしいよ」
姉「おいなりさんより?」
弟「おいなりさんより」
姉「そっか。じゃあやっぱり交換しようよ」
弟「え、なんで?」
姉「おいなりさんよりおいしいものは、みんな弟にあげる!」

764 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/06(木) 04:54:07.69 ID:JWMzZIb5O
弟「もういいかーい」
姉「まぁだだよー」


姉「もういいよー」
弟「……さて、お姉ちゃんはどこに隠れたのかな」


お姉ちゃーん、お姉ちゃーん
お姉ちゃーん、どこにいるのー?
お姉ちゃーん、出て来てよー。もう真っ暗だよー
……いない。どうしよう
…………
…………


姉「ばっ!」
弟「うわあ! ……あ、お姉ちゃん」
姉「あはは、弟って探すのへたー」
弟「お姉ちゃん」
姉「ん、どうしたの?」
弟「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
姉「わ。よしよし、よしよし。どうしたの」
弟「お姉ちゃん。……これからは、暗くなったら出て来てね」
姉「そうだね、ごめんなさい。弟に意地悪しちゃったね」

769 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/06(木) 05:24:41.65 ID:JWMzZIb5O
あの、せんばい、その、す、好きですっ
弟「えっ?」
先輩が好きなんです!
弟「……」
……だめ、ですか?
弟「ご、ごめんなさい。僕、君が誰か全然知らないし、いきなりだと……」
……


みーちゃった、みーちゃった
弟「あ、お姉ちゃん」
弟が女の子を泣かせるとこ、みーちゃった
弟「あっち行ってよ。……あれ、あの女の子は? 消えちゃった」
あの女の子はどこかへ走って行きましたよ
弟「どうしよう」
うふふ。弟の好みっぽい女の子でしたね
弟「お姉ちゃん、なんで笑ってるの?」
べつにー。あーあ、弟がかわいい子を泣かしたー。うふふー
弟「……ところで、あの女の子はなんで僕の事を『先輩』って呼んだんだろう。
 僕、一年生なのに……」


姉「あ」

771 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/06(木) 06:29:39.30 ID:JWMzZIb5O
姉「今点いているこの蝋燭が、あろまきゃんどる?」
弟「そう。いい匂いでしょ?」
姉「くしゅん。お姉ちゃん、鼻がちょっとおかしくなっちゃった。くしゅん、くしゅん」
弟「そっか。お姉ちゃんにアロマキャンドルは合わないんだね」
姉「うん、だめだった。……ふっ」
弟「あ、消えちゃった」
姉「弟。にせものの匂いばかり嗅いでいると、本物の良い香りが分からなくなるんだよ?」
弟「そういえば、そうかも」
姉「というわけで、これから二人で良い香りの苺をいただきましょう」
弟「あ、ホントに良い香り」
姉「ふふふ、これが本物の香りだよ。あろまの好きな弟に分かるかな」
弟「じゃあ、おやつの時間まで匂いだけ嗅いでいようか」
姉「あ、弟の意地悪! 待ってると匂いが消えちゃうから、すぐ食べないとだーめ!」
弟「あと、たった十分くらいの事でしょ」
姉「狐に小豆飯! とう! 苺は貰いました!」
弟「あ、取ってった。こら、待てお姉ちゃーん」

778 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/06(木) 07:37:31.29 ID:JWMzZIb5O
姉「いつもいいこにしてる弟には、この砂を一粒あげましょう」
弟「……あ、ありがとう。でも、砂一粒なんてすぐ失くしそうだね」
姉「じゃあ、その砂の代わりにおっきな金剛石をあげましょうか。ごそごそ。宝物入れをごそごそ」
弟「金剛石って、ダイヤモンド?」
姉「ダイヤモンド。あれ、見つからない。おかしいな」
弟(ああ、きっとお姉ちゃんはごっこ遊びをしているんだな。付き合わなきゃ)
弟「いいよいいよ。お姉ちゃんがくれたものは大切にする」
姉「それがいいのです」


弟(……あれ? さっきお姉ちゃんから貰った砂粒が、いつの間にか金色に光ってる)
弟「……砂金だ!」


弟「お姉ちゃん、さっき貰った砂粒が砂金だった!」
姉「そうですか。えへへ」
弟「……その石、何? ずいぶん嬉しそうに眺めてるけど」
姉「これは、さっき言ったおっきなダイヤモンドですよ」
弟「僕にはただの石に見えるよ? あ、もしかしてダイヤの原石とか?」
姉「違うのです」
弟「じゃあ、何?」
姉「この石はただの石ですが、形が弟の横顔に似ているのです。
 眺めても眺めても飽きないところが、まるでダイヤモンドみたいなのですよ」

795 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/06(木) 11:46:12.23 ID:JWMzZIb5O
姉「弟の毛繕いをしてあげましょう。ぺろぺろ」
弟「ちょっと、お姉ちゃんくすぐったいよ」
姉「ぺろぺろぺーろ。ほーら、たちまちハンサムさん。ちゅ」
弟「よだれまみれになっちゃった」

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