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狐「今からずっと、わたしがお姉ちゃんになってあげるよ」



 ID:aTNRqx2BOのお話。
 「姉が狐らしく、また弟は姉が狐だとは気付いていない」点は>>1と同じ。
 「和やかさと微かな物悲しさ」も漂い、「諸文献からの引用や、狐に因んだネタ」も。
 「携帯からの投稿で、一切発言」せず、何より文体が>>1に近い。
 スレ中でも「ID:aTNRqx2BOは>>1なのでは?」という意見もあったが、
 やはり>>1もID:aTNRqx2BOも、何も答える事は無かった。
 


247 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 02:17:23.85 ID:aTNRqx2BO
姉「ぽかぽかで、ふかふかだ」
弟「こら、干してた布団を勝手に下ろしてお昼寝しないの。しかも縁側で」
姉「お日さまの匂い、嗅ぐなら今のうち。弟もこっち来て一緒に寝よ」
弟「夜に眠れなくなるよー」
姉「なら夜は起きてればいいのです。お姉ちゃんと二人で、夜更かしする悪い子になろうよ」
弟「……それもそっか。明日は休みだしね。じゃ、隣にお邪魔しますね」
姉「よしよし、良い抱き枕が出来た。ぎゅ。強めにぎゅ」
弟「お姉ちゃんの体、なんだか柔らかくてもふもふする」
姉「あったかいでしょ。あむあむ」
弟「ちょっと、甘噛みはやめて」
姉「あむあむ」
弟「眠れないからー」

255 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 02:41:59.09 ID:aTNRqx2BO
姉「トーストこんがりキツネ色」

姉「オムレツこんがりキツネ色」

姉「お野菜こんがりキツネ色……あれ? サラダ……だった、はず?」

姉「ごはん……出来た? うん、出来たという事で」

姉「あれ? 煙もくもく」

姉「弟、起きて。助けて。大ぴんち」

263 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 03:10:45.05 ID:aTNRqx2BO
弟「はい、突然ですがお姉ちゃんにプレゼント」
姉「わあぁ。……あれれ、ちっちゃい包み」
弟「ま、ほんの気持ちという事で」
姉「なんだろー」
弟「……」
姉「あ、クレヨンだ!」
弟「口紅です」
姉「……なるほど、どうりで一本だけだと。でもこれは普通、お姉ちゃんなんかに贈るものですか?」
弟「たまには。お姉ちゃん化粧っ気ないし」
姉「そっか、全然お洒落しないお姉ちゃんを心配してくれたんだ。
 ありがとうございます。ふかぶかおじぎ」
弟「どういたしまして。ふかぶかおじぎ」
姉「おお真っ赤だー」
弟「あはは」
姉「む。上手く塗れないぞ。これはひどい状態だぞ。見て見て」
弟「あはははは」
姉「お姉ちゃん、これからはお化粧で化けるの練習するー」

280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 04:16:37.61 ID:aTNRqx2BO
姉「さんすうって難しいね」
弟「数学です」
姉「見て。問題を解いてる弟の顔描いたよ。かっこいいよね」
弟「遊んじゃだめ。さあ、一緒に勉強勉強」
姉「おお、やる気だ」
弟「大体、一緒に勉強しようって言ったのはお姉ちゃんでしょ」
姉「アニメで見たの。男の子と女の子が二人で一緒に勉強してて、それが楽しそうだったから」
弟「実際は楽しくないんですよー」
姉「じゃあ、弟は勉強する係で、お姉ちゃんはお菓子を用意する係にしよう」
弟「だーめ」
姉「その逆も?」
弟「あ、逆はいいなー」

288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 04:51:39.34 ID:aTNRqx2BO
姉「うなぎのどんぶりごはんです。さあどうぞ」
弟「すごい。豪華だね。何かあったの?」
姉「何にも。ただ、うなぎは栄養がつくから」
弟「ありがとう。ふかぶかおじぎ」
姉「ふかぶかおじぎ」
弟「……おいしい。お姉ちゃんも食べたら?」
姉「お姉ちゃんはいいよ」
弟「はい、あーん」
姉「いいよいいよ、お姉ちゃんはごんぎつねを読んで、胸がいっぱいになっちゃった」
弟「あ、影響されたんだ。思い出し泣きしてるよ」
姉「……」
弟「大丈夫?」
姉「大丈夫。困ったものです」

352 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 11:57:14.61 ID:aTNRqx2BO
姉「これは困った。これは困った。弟ー、助けてー」
弟「あっ。お姉ちゃん、どうして木の上なんかに」
姉「降りられなくなりました。助けてー」
弟「落ちたら僕が絶対助けるから、ゆっくり降りて来て」
姉「分かったよ。……よいしょ、よいしょ」
弟「もうちょっとだ。もうちょっとだよお姉ちゃん」
姉「うん。よいしょ、よいしょ……降りれた!」
弟「良かったね。怪我はない?」
姉「ないですよ、ありがとうございます。ふかぶかおじぎ。
 あと、これあげる。木の上からりんごのおみやげ!」

385 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 13:17:09.34 ID:aTNRqx2BO
姉「今日は弟の帰りがおそい。お姉ちゃんは自由だ」

姉「牛乳をたくさん飲もう。がぶがぶ。おいしい」

姉「でっかいオムレツを作ってひとりで食べる。ほくほく」

姉「デザートはいちごのアイスクリームだ。ぺろぺろ。つめたい」

姉「さみしい」

姉「おなかいたい。さみしい」

468 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 17:48:26.96 ID:aTNRqx2BO
姉「初詣だ! 初詣初詣! 人いっぱい!」
弟「お姉ちゃん、五円玉はちゃんと持ってる?」
姉「うん、たくさん持ってるよ」
弟「じゃ、神さまにお賽銭あげようか」
姉「ざららららら」
弟「ちょっと、入れすぎです」
姉「ふんぱつしました」
弟「そっか。じゃ、僕もふんぱつ。ざららららら」
姉「鈴を鳴らします。がらんがらんがらん」
弟「ぱん、ぱん」
姉「ぱん、ぱん。神さま、お願いします」
弟(今年もお姉ちゃんと僕が健康でありますように)
姉(弟にだけは嘘がばれませんように。あと、これ以上嘘をつく必要がありませんように)
弟「よーし、次はおみくじだー」
姉「おみくじだー」


姉(……末吉? 何だろう。聞いた事ないけどきっとだめなやつだ。やだな)
弟「お姉ちゃん、僕は中吉だったよ。お姉ちゃんは?」
姉「も、もちろん大吉ですよー」
弟「ほんとだ。お姉ちゃん、きっと良い事あるよ」
姉「弟こそ、二番目に良いやつで良かったね」
弟「うん、二人とも良い事あるね」

476 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 18:08:27.61 ID:aTNRqx2BO
姉「狐は庄屋さんに勝つ。庄屋さんは鉄砲を持った猟師さんに勝つ。猟師さんは狐に勝つ。
 それが狐拳というものなのです」
弟「じゃんけんみたいなものなんだね」
姉「弟は庄屋さん。お金をたくさん儲けて、立派なうちに住んでください」
弟「うん、努力する。お姉ちゃんは?」
姉「鉄砲なんて持つのは嫌なのです」
弟「じゃ、狐かー」
姉「もし猟師さんが来たら、弟にはお姉ちゃんを守って欲しいのです」
弟「分かった。守るよ」
姉「ありがとうございます。強い子になって欲しいのです。ふかぶかおじぎ」
弟「でもお姉ちゃんには弱いんだよね」
姉「そこは、庄屋さんですから」

490 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 18:41:00.41 ID:aTNRqx2BO
弟「あ、……雨かな? こんなに晴れてるのに、窓に水滴が」
姉「おめでとうございます。ふかぶかおじぎ」
弟「お姉ちゃん?」
姉「これは狐の嫁入りだよ。おめでとうございます。ふかぶかおじぎ」
弟(ああ、そうか。今、どこかで狐が嫁入りしているんだ)
姉「弟も、玄関に向かってふかぶかおじぎ」
弟「あ、おめでとうございます。ふかぶかおじぎ」
姉「お幸せに。お幸せに」
弟(不思議だ。お姉ちゃんは、玄関に誰かが挨拶に来たみたいに話してる)
姉「弟、今日の晩ごはんにはお赤飯のおいなりさんを作ってあげる。おいしいよ」
弟「うん」
姉「たくさんたくさん作ってあげる」
弟「ありがとう。ふかぶかおじぎ」
姉「今日はおめでたい日。いっぱい食べてね。お姉ちゃんもいっぱい食べるから」

511 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 19:30:48.41 ID:aTNRqx2BO
狐の先生「これはフォックスキャッチャーといって、狐を捕まえる外国の罠です」
「ここの環の所に足を入れるとピチンとしまって、もうそれきり取れなくなるのです」
「もちろんこの器械は鎖か何かで太い木に縛り付けてありますから、足を取られたらもうそれきりです」

狐「なるほど」


弟「お姉ちゃん、コタツの電気点けたよ。みかんもあるよ」
姉「わーい! おこただ、みかんだ!」
弟「テレビではお姉ちゃんの好きそうなアニメやってるよ」
姉「わぁ。あったかいし、甘いし、面白い。これは忙しいのです」
弟「あはは。こんな風だと動きたくなくなるよね」
姉「ほんとだねー……」
弟「……」
姉「……フォックスキャッチャーだ!」
弟「え、何?」

531 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/02(日) 20:23:52.74 ID:aTNRqx2BO
姉「いけない。ちこくちこく」
弟「お姉ちゃん。油揚げをくわえながら学校に行こうとしちゃ、だめ」
姉「おなかがすくと力が出ないのです」
弟「学校へ行くのは、ちゃんと食べてから」
姉「うん。もぐもぐ」
弟「よろしい」
姉「おかわりどこかな。あった。よし、いけないちこくちこく」
弟「だから、油揚げをくわえて走っちゃだめだよ」
姉「じゃあ、手に持つ」
弟「だーめ。今食べちゃいなさい」
姉「はーい。もぐもぐ」

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